サイレントマニピュレーションとは?

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「夜、痛みで目が覚める」「リハビリを続けているが肩の可動域が戻らない」——こうした長引く五十肩(肩関節周囲炎)には、関節を包む膜が縮んで固まってしまう「拘縮(こうしゅく)」が起こっていることがあります。今回は、拘縮した肩関節の問題に対する治療選択肢のひとつ「サイレントマニピュレーション(非観血的関節授動術)」について解説します。

肩はなぜ「固まる」のか

五十肩(肩関節周囲炎)は、肩関節を包む関節包という膜に炎症が起こる病気です。炎症の時期(炎症期)には安静時や夜間の強い痛みが特徴ですが、炎症が続くと関節包が分厚く硬く縮んでいき、肩の動く範囲(可動域)がどんどん狭くなります。これが「拘縮期」、いわゆる凍結肩(フローズンショルダー)と呼ばれる状態です。

この段階になると、縮んで固まった関節包そのものが動きを妨げています。
通常はリハビリなどで少しずつ改善していくことになりますが、人によっては長期間(場合によっては数年)治療にかかることもあります。

サイレントマニピュレーションとは

サイレントマニピュレーション(非観血的関節授動術)は、超音波(エコー)ガイド下で首の付け根にある腕全体に行く神経に麻酔を行い(伝達麻酔)、肩を含めた腕全体に麻酔をかけた状態で、医師が肩関節を他動的に動かして、縮んで固まった関節包をはがす治療です。

「非観血的」とは「メスで切らない」という意味です。出血はなく、外来で行うことができ、入院は不要です。麻酔から処置までの所要時間は30分程度、実際に肩を動かす時間は数分です。麻酔が効いている間は腕全体の感覚もなく、力も入りません。麻酔は5−6時間で切れますので、それ以降は通常通りの生活ができます。

麻酔が効いている間は痛みを感じないまま関節包がはがれるため、「サイレント(静かな)」マニピュレーションと呼ばれています。

どんな人に向いているか(適応)

  • 肩関節周囲炎の発症から数か月以上経過し、拘縮(可動域制限)が主体になっている方
  • 注射・内服・リハビリ等を続けても可動域の改善が乏しい方

一方、炎症期で安静時痛・夜間痛が強い時期は、まず炎症を抑える治療が優先です。また、骨粗しょう症が高度な方や、腱板断裂など別の病気が痛みの原因である場合は適応にならないことがあります。適応かどうかの判断には、診察と画像検査(レントゲン・MRI・エコー)が重要です。

治療の流れ

STEP1 診察・検査で適応を判断

拘縮の程度を確認し、腱板断裂などが隠れていないかをMRIやエコーで確認します。

STEP2 エコーガイド下の伝達麻酔

超音波で神経の位置を確認しながら、首の付け根に局所麻酔を行います。しばらくすると腕がしびれて持ち上がらなくなり、腕全体の感覚がなくなります。

STEP3 徒手による授動術

医師が肩を色々な方向にゆっくり動かし、固まった関節包をはがしていきます。時間は数分程度です。

STEP4 直後からのリハビリテーション

はがした関節包は、放っておくと再び癒着してしまいます。獲得した可動域を維持するため、処置後早期からリハビリを開始し、継続することが治療の成否を分けます。

リスク・注意点

  • 麻酔が切れるまで(数時間)は腕に力が入らないため、当日は車の運転ができません
  • 処置後数日は痛みが出ることがあります
  • まれに骨折・脱臼・腱板損傷などの合併症が報告されており、骨の脆弱な方には行いません
  • 処置後のリハビリを怠ると再拘縮することがあります

費用について

五十肩に対する非観血的関節授動術は健康保険が適用されます。3割負担の場合、処置と麻酔でおおよそ5,000円程度(別途、診察料・検査料・リハビリ料がかかります)が目安です。

よくある質問

Q. 処置は痛くないのですか?

A. 麻酔が効いた状態で行うため、処置中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時のチクッとした痛みはあります。

Q. 入院は必要ですか?

A. 不要です。外来で行い、当日お帰りいただけます。ただし当日は車の運転ができないため、公共交通機関や送迎などをご検討ください。

Q. 一度で治りますか?

A. 可動域は処置直後から大きく改善することが多いですが、それを維持できるかはその後のリハビリ次第です。処置は「ゴール」ではなく「リハビリを効果的に進めるためのスタート」とお考えください。必要な場合は2、3回行います。

長引く肩の痛みは、あきらめる前にご相談ください

福山かた・ひざ・こしのクリニック(広島県福山市神辺町)では、サイレントマニピュレーション(非観血的関節授動術)を外来で実施しています。肩の診療を得意とし、MRI・CT、エコーを院内に完備、理学療法士による運動器リハビリで肩の痛みの治療に取り組んでいます。「もう何か月も肩が上がらない」という方は、拘縮の程度と原因を一度確認しにいらしてください。

クリニック名福山かた・ひざ・こしのクリニック
住所〒720-2122 広島県福山市神辺町大字新湯野74-18
電話084-967-5013
診療科目整形外科・リハビリテーション科
設備MRI・CT・エコー完備/駐車場84台

肩の痛みが続く方は「肩の痛みでお困りのかたへ」のページもあわせてご覧ください。

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