五十肩

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まず初めに病名のお話し

「五十肩」という病名は今は使いません。「坐骨神経痛」もそうなのですが、医学が進歩するにつれ痛みの原因がわかってきました。
昔(と言っても40年近く経ちますが)はなんとなく50歳以上になってくると肩が痛くなって、寝る時も痛くて苦労したりしている人がいました。原因がわからないので「五十肩」と呼んでいたのです。
五十肩という言葉は(私が知る限りでは)江戸時代から使われ出したようですが、その当時の日本人の平均寿命は今よりもっと短かったので50歳で発症する人が多かったのですが(60歳以上まで生きる人がいませんでしたから)、今は平均寿命が伸びたのにあわせて70歳、80歳でも発症する人もいます。
現在ではその「五十肩」がなぜおこるかがわかってきました。また五十肩になる理由も複数あることがわかってきました。今回はその中でインピンジメント症候群と呼ばれる病気についての話していきます。

肩とはなんぞや?

肩関節の定義
肩関節

突然ですが問題です。

Q1. 「肩関節」を指さしてください

おそらくみなさんは上の図のオレンジの◯のあたりを指さしたと思います。これは肩甲骨と腕の骨の間にある関節で「肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)」と言います。一般的にいう肩関節はこの「肩甲上腕関節」をさします(このブログでも特に指定しない場合は「肩関節」と言えば「肩甲上腕関節」をさすことにします)。

では、

Q2. あなたが「手を挙げてください」と言われた時、動かすのはどこの関節でしょうか?

「肩関節」を動かすわけですが、この時実は上の図で示したオレンジの◯だけでなく、水色の◯も一緒に動かしています。これを「ひろい意味での肩関節」と呼びます。いくつも関節があって複雑そうに見えますが、単純に

「体と肩甲骨の間の関節」と「せまい意味での肩関節」

の2つの関節が組み合わさっていると考えると理解しやすいです。

肩を動かす時は2つの関節が協力して動いています

肩甲胸郭リズム(正常)

手を横に90度挙げる動作を考えてみます。
この時正常の肩では「肩甲骨が30度動く」動作と「肩関節が60度動く」動作を一緒に行なっています。
ところで皆さんにやっていただきたいのですが、反対の手を使って肩を抑えて肩甲骨が動かないようにした状態で手をあげてみてください。肩甲骨が全く動かなくても肘が肩と同じぐらいか少し高いぐらいのところまでは挙げることができたと思います。
肩関節だけでも120度までは横に開くことができます。
20代ぐらいまでは肩甲骨もしっかりと動くので問題ないのですが、だんだん年齢があがっていくにつれ、肩甲骨の動きが悪くなっていきます。そうすると肩関節だけで用事を済まそうとしてきます。

肩関節を無理やり動かさないと目的がはたせなくなる

肩甲胸郭リズム(不整)

肘や指を反対方向にむりやり伸ばそうとしたら痛いですよね?肩関節も同じです。
肩甲骨の動きが悪くなってきて肩関節だけで用事を済ませようとすると、本来の肩関節の動く範囲を超えてむりやり動かさないといけなくなってしまいます。
そうなってくると本来ならばぶつからない部分同士がぶつかったりして、関節の軟骨や腱などが痛んできます。軟骨や腱が傷んでしまうと拘縮(こうしゅく)と言って関節の動きが悪くなっていきます。するとまた無理やり動かした時に軟骨や腱が傷ついて・・・といった悪循環になっていきます。

治療方法

今までの説明をご理解していただければ、治療方法はわかってくると思います。

無理な動きをしない

「そう言っても仕事で」「家事をしてるとどうしても」というのはわかります。ただ、多くの場合は痛みが出ずに目的を達成する方法はありますので、療法士に相談していただければと思います。
例えば「洗濯物を干す時に肩が痛い」場合、10cmでもいいので足台を使って高い位置にあがればその分肩を動かす角度が減るので痛みなく洗濯物が干せます。ちょっとした工夫で痛みがでないようにすることが可能です。

むやみに痛み止めを使わない

こちらのブログでも書きましたが、「痛み」は「その動きをすると不利益になりますよ」と体が教えてくれています。痛み止め(湿布を含む)を使って無理やり動かそうとするとかえって悪化してしまいます。

まずは肩甲骨が動くようにする

肩関節が悪くなる原因は肩甲骨の動きが悪くなるためですので(傷ついて炎症が起きている肩関節はあとまわしにして)、肩甲骨の動きをよくする体操をしていきましょう。運動器リハビリで療法士から習ってください。

痛みがひどい時には注射もあります

あまりにも痛みがひどいと夜も眠れなくなります。そのような時はさすがに痛み止めを使いましょう。ステロイドの関節注射がよく効くので「とりあえず、夜眠れるぐらいになるまで痛みを抑える」ために使うこともあります。何回も使っていると軟骨を痛める原因にもなるので、どうしても痛みが強い時のみに使うようにしています。

治療には時間がかかります

週に1,2回の運動器リハビリの通院を続けても、3ヶ月程度は最低でもかかると考えてください。人によっては年単位で治療が必要になる場合もあります。

外来でできる「サイレントマニピュレーション」

関節の拘縮(こうしゅく)がひどくてなかなかリハビリだけでは改善しない場合は、局所麻酔をした状態で肩関節を動かして癒着を剥がす「サイレントマニピュレーション」という手技があります。
麻酔の関係で半日ほど手が使えなくなるため公共交通機関を使っての来院をお勧めします。

なかなか治らない場合は肩関節専門の医師の診察を勧めています

リハビリが長期間にわたる場合は一度専門医の診察を勧めています。手術をする、しないは最終的にご本人が決めればいいことですので、一度専門医の意見を聞いて納得いただいて治療を受けていただければと思います。

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