腱鞘炎(ばね指)

腱鞘炎(ばね指)830×510

指を曲げようとすると痛みが出ませんか?

指の付け根のところが痛いことはありませんか?強く手を握った後に伸ばそうとすると痛みが出たり、なにかに引っかかって伸ばしにくかったりしていたら、腱鞘炎(ばね指)かもしれません。
腱鞘炎では、下の絵の●の位置が痛くなることが多いです。
指を曲げる時に使う腱(屈筋腱)が腱鞘炎を起こすことが多いです。手首の親指側でも腱鞘炎を起こすことがあります(ドケルバン病といいます)。

腱鞘炎位置510×830
腱鞘炎の位置

診断・検査方法

まずお話を聞いて、どのような時に痛みが出るのかを確認します。

  • 朝起きてすぐ
  • 手を使う仕事をした後(草むしりなど)
  • 繰り返し同じ作業を行う仕事をする場合(パソコン操作など)
  • 出産前後

などが多いです。

「指が伸びない」と言ってこられる方の中には「デュプイトラン拘縮」という特殊な状態の時もあります。
超音波検査やレントゲン検査を行い、他の病気がないかを確認します。変形性の関節症が合併していたり、ガングリオンがある場合もあります。

超音波検査で腱や腱鞘(けんしょう)の状態を確認します。腱は指を曲げるときに引っ張る「ひも」、腱鞘はその「ひも」が通るためのトンネルと思ってください。指を曲げたり伸ばしたりしながら腱鞘の中を腱が動く様子を観察します。炎症が起こって腱と腱鞘が癒着していたりするとスムーズに動いてくれません。

治療方法

基本

基本的に安静です。どうしても痛ければ痛み止めの塗り薬や飲み薬を使っても構いませんが、無理して使ってしまうと逆に悪化することがしばしばあります(ので、ご理解していただいた上で使ってください)。指の動きを抑える装具をつけることもあります。

注射

安静にしても痛みが改善しない場合、あまり通院できない場合はステロイドの腱鞘内注射がよく効きます(痛いです!)。当院ではトリアムシノロン(ケナコルト)を使っています。
ステロイド注射の効果は6ヶ月程度持続します。効果が切れてまた痛みが出るのは半数程度でしょうか?ステロイドの腱鞘内注射を何度も行うと腱の強度が下がり切れてしまうことがあります。腱が切れてしまうとものすごく大変なので、当院ではステロイドの注射は1回のみとしております。
多血小板血漿療法も良い適応になりますが、コストパフォーマンスを考えると手術を選択したほうが良いと思います。

手術

保存療法や注射でも改善しない場合は「腱鞘切開術(腱鞘切開術)」行います。当院は手術を行ってませんので手術ができる施設に紹介しています。施設によってやり方は様々ですが、通常入院の必要はなく1時間もあれば手術室から出てこれます。実際の手術時間は10分程度です。

妊娠、出産後に腱鞘炎になることがあります

妊娠中や出産後に腱鞘炎になることがあります。これは女性ホルモンのバランスが出産前後で通常と変化することが原因と言われています。
ホルモンのバランスが元通りになると自然と改善することが大半ですので、無理に手術する必要はありません。通常お子さんが1歳の誕生日を迎える頃には改善することが多い印象です。どうしても痛い場合はステロイドの腱鞘内注射を行います。

関節リウマチが隠れていることもあります

複数箇所の指が同時に腱鞘炎になったり、指の付け根以外のところが腫れたりする時には関節リウマチを疑います。自然経過で症状が改善したり増悪したりすることもあるので、特に何もしていなくても腱鞘炎が生じたり改善したりする場合は一度関節リウマチを疑って血液検査をすることをお勧めします。

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