スポーツは楽しいですか?
最近は小学校低学年からスポーツをしているお子さんが増えてきました。みんなで体を動かすのは楽しいですね!
でも体が成長していくにつれ、体のあちこちにトラブルが起こってきます。オスグッド病はそんな病気の一つです。
名前の由来
オスグッド病は正式には「オスグッドシュラッター病(Osgood-Schlatter desease)」といいます。イギリスの整形外科医、オスグッドさんとスイスの整形外科医シュラッターさんが1903年ほぼ同時に症例を報告したことから二人の名前がついています。
どうしてほぼ同時だったかという推測ですが、レントゲンがX線を発見したのが1895年ですので、発見から8年経過してヨーロッパ中の大きな病院でレントゲン検査が少しずつ一般的になってきたからではないでしょうか?
ちなみに報告時にオスグッド先生は若干30歳でした。
症状・原因
10歳前後から2次成長といって、急に身長が伸びる時期がきます。この「身長が伸びる」というのは骨が成長することです。筋肉や腱が骨の成長に合わせて伸びてくれればいいのですが、どうしても遅れてしまい、相対的に筋肉が骨に付く部分で引っ張る力が大きくなってしまいます。
スポーツでジャンプ動作や(ボールなどを)蹴る動作をする時に膝を強く伸ばさなければいけません。膝を伸ばす動きは主に大腿四頭筋で行われていますが、大腿四頭筋が脛骨(すねの骨)に付く「脛骨粗面」という場所にくり返しの強いストレスがかかります。脛骨粗面は大人になってしまえば「膝の下にある骨のでっぱり」ですが、オスグッド病になる年代では十分に固い骨になっておらず、軟骨成分をがメインになっています。
強い力が繰り返し加わることにより強度の弱い軟骨部分が損傷を起こすために痛みが出ると思われています。
・・・思われていますというのはすごく曖昧ないいかたですが、骨の成長具合によって微妙に痛みの原因が変わっているようです(今のところ特に治療方針に差はないので無視します)。
どのような人が発症する?
男子が多いと言われますが、最近は女子でも多くなってきた印象です。小さい頃からスポーツをする女子が増えてきたせいでしょうか?
10歳前後からが多いですが、女子のほうが二次成長の開始時期が早いこともあり、女子なら8歳ぐらいでもなることがあります。
治療法
他の病気でも言えることですが「痛いのは体が『その動きをすると不利益が起こりますよ』と教えてくれている」わけですから、治療の基本は「痛いことをしない」となります。
鎮痛剤や湿布は痛みを和らげるだけで治療効果はありませんので、使い方を間違えないようにしていただきたいと思います。
「大腿四頭筋が相対的に短くなることで、骨をひっぱる力が強くなる」ことが原因ですので、ストレッチを十分にやっていきます。
スポーツをやめる必要があるか?ですが、一旦中止して治療に専念したほうが治療経過としては良いです。当院では行っているスポーツの試合スケジュールなどを考慮しながらスポーツを中止すべきかを判断しています。
大人のオスグッド病
身長の伸びが止まる15歳ぐらいから症状はなくなってきますが、15歳以上になっても稀にみかけます。
「以前オスグッド病になっていて、一旦改善したけれど社会人になってスポーツを再開したら痛くなった。」ということがあります。人によっては学生時代は痛くなかったが、大人になってスポーツをしていたら痛みが出てしまったと言う人もいました。
大人の脛骨粗面には軟骨はありません。以前痛んでいた軟骨部分が十分に治りきれずに離れたままになり、小さな骨のかけらになっています。この骨が動くことにより他の骨とぶつかって痛くなります。
十分な休養で痛みが改善しない場合はその骨のかけらを摘出する手術をすることもあります。