腰椎分離症

腰椎分離症_830×510

学生のスポーツ選手に多い腰椎の疲労骨折です

最近は小学校低学年から子供にスポーツを始めさせる家庭が多いのですが、9歳前後から体のあちこちが痛くなって受診される患者さんが多くなります。二次成長がほぼ終わる16歳ごろまでは身体能力の向上と骨の成熟速度のアンバランスに伴う骨折が増えます。腰椎分離症は腰の骨(腰椎)に対する負荷が増えるにも関わらず、その負荷を受け止めれるほど腰椎が成熟していないために起こる疲労骨折です。
野球やテニス、バスケットなど、体幹を捻る動きを繰り返し行うスポーツで多いと言われますが、それ以外のスポーツでもよく見られます。

どこが骨折するのか?

腰椎分離症挿絵_830×510

腰の骨(腰椎)の後ろにある「椎弓」と呼ばれる部分が骨折します。椎弓には上下の腰椎をつなぐ役割があり、骨折して不安定になると腰椎がずれてしまう「腰椎分離すべり症」になります。

10代の腰痛はMRI必須

18歳以下の腰痛の実に5割は腰椎分離症と言われています。そして腰椎分離症はレントゲン撮影だけでは3割はわからないと言われています。最近はCTでもわからないタイプの分離症の報告もあります。
したがって10代の腰痛はMRIが必須と考えています。早期に発見したほうが、治癒までの期間が短くてすむので、MRI検査を行い早期発見、早期治療が望ましいと考えています。

腰椎分離症の問題点

腰椎分離症の問題は主に2つです。

競技のパフォーマンス低下

腰椎分離症の問題点は「あまり痛くないときがある」ことです。「腰がはった感じがする」程度にしか痛みがひどくならず、大人になって腰痛で整形外科を受診して初めて腰椎分離症を指摘されることもあります。
痛くないならいいじゃないか?と思われるかもしれませんが、痛みが出ないようにかばってしまうので痛くないのです。腰椎分離症の痛みが出ないように全身でかばってしまい、フォームが崩れて肩や膝の痛みの原因になってしまいます。

「腰椎分離すべり症」に進行する可能性がある

腰椎分離症を放置すると骨折部位が離れたままになり上下の椎体がずれてしまう腰椎分離すべり症になる可能性があります。腰椎の中には下半身に行く神経が通るトンネルがありますが、分離すべり症になるとそのトンネルが狭くなり、トンネルの中を通っている神経が圧迫される腰部脊柱管狭窄症になります。
腰椎分離すべり症になるリスクは若ければ若いほど高いので、特に小学校低学年から中学生での腰椎分離症は要注意です。

当院での治療方針

腰椎分離症の治療方針は基本的に患者さんやご家族の希望を十分考慮したうえで決定します。可能な限り治癒(骨癒合)を目指したほうが良いと考えています。
腰椎分離症は発見時にすでに病状が進行してしまっている場合もあり、骨癒合が期待できない場合があります。そのような場合は痛みに応じてリハビリを行いながらスポーツを続けます。
骨癒合が期待できる場合は一旦スポーツを中止して治療に専念していただいたほうが良いです。が、例えば大事な試合の直前の場合など、その時の状況によって患者さん本人や保護者のかたと話をして決定します。
骨癒合が得られる状態だったとしても、年齢などによっては将来的なリスク(=腰椎分離すべり症に進行するリスク)も考えながら治療計画を作っていくべきだと思います。
将来腰椎分離すべり症になるリスクが高い場合はスポーツ活動の中止を強くお願いします。どうしてもご納得いただけない場合は脊椎の専門医の受診をお勧めしています。
腰椎分離症の平均癒合期間(骨折部が再びくっつくまでの期間)は平均4ヶ月程度かかります。
治療には本人やご家族に対する精神的なサポートが必要であると考えています。

おまけ①:実は医師で腰椎分離症を持っている人は多いんです

医師はなにかとがむしゃらにやってしまう人が多いせいか、「中学高校で腰が痛いのを我慢して必死に部活をして医学部に入って自分が腰椎分離症とわかった。あの時ちゃんと治療しとけば今腰が痛くて苦労していないのに」という典型的な(悪い)経過をたどっている人を私の周りでも3、4人は知っています。
医師、特に外科系は手術時にずっと立ちっぱなしのこともあり、腰椎分離症に悩まされている人は少なくないです。
そのような先生に話を聞くと「絶対ちゃんと治しておいた方がいい、ちゃんと病院にかからなかった自分が悪かった」と口をそろえて言います。

おまけ②:なぜ疲労骨折と言わないのか?

この病気が発見された当初、疲労骨折と考えられていなかったからです。CTやMRIがない時代の整形外科の検査方法といえばレントゲン検査ですが、レントゲン検査で椎弓が離れているのが腰痛の原因でないかと思われていました。そこで腰椎分離症と名付けられました。CTやMRIでの検査が進むにつれ、実は疲労骨折であることがわかったのです。
「腰椎椎弓疲労骨折」と名前を変えても良いと思うのですが、以前からの慣習のまま分離症と呼ばれています。

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