多血小板血漿(PRP)療法 よくある質問集

PRP療法FAQ ブログ用830×510

多血小板血漿療法について、よく質問をいただくことについてまとめてみました。一通り読んでいただけますとPRP療法についてよりご理解がいただけると思います。

Q. 施行前に注意しなければならないことはありますか?

A. 非ステロイド系抗炎症薬に分類される痛み止め(ロキソニンなど)はPRP療法と全く逆の作用があるため、施行前後2週間程度は使用しないようにお願いしています。湿布も同様です。

Q.施行後に注意しなければならない点はありますか?

A. PRPの効果がおちつくまで2週間程度は安静をお願いしています。以前はギプスで固定などを行っていたのですが、今は「日常生活の最低限の行動にとどめてください」とお願いしています。長距離の移動やスポーツなどは控えるようにお願いします。
血小板が組織をなおす時に一番最初にすることは「傷を固定する」ことです。接着剤のように組織同士をくっつけて動きを抑えます。固まるまでの間に組織が動いてしまうと固定力が弱くなります。

Q. 効果がある人、ない人はどのくらいの割合でしょうか?

A. PRP療法の効果をひとことで言ってしまうと「効く人にはよく効くけど、効かない人には全く効かない。トータルでみればステロイドやヒアルロン酸注射などの保険診療と比べると効果は高い」と言えるのではないでしょうか?以下、私が実際に行ったPRP療法の治療効果です。

2021年8月19日より、2022年8月18日までの1年間で、PRP療法施行後24週間まで評価を追うことができた17症例の治療成績です。17症例中、悪化したのは5症例でした。12症例は何らかの改善がみられました。

評価悪化軽度改善中等度改善著明に改善
症例数5264
悪化改善
512



上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)に対しては当院ではまだ症例が少ないのですが、以前私が他施設で施行していたときは6ヶ月以上他の保存療法で効果がなかった24人に対して施行し、18人が改善しました(75%改善)。

Q. 効果は何ヶ月ぐらい持続するのでしょうか?

A. PRP療法は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療法)」に基づいた治療法であり、年に一回治療成績をまとめて提出する義務があります。当院では治療後半年間、治療効果を判定するためにアンケートを行なっております。少なくとも半年は各種スコアが改善し続け、悪化することはありません。
文献にもよりますが、6ヶ月から1年程度は効果が持続すると言われています。

Q. キットがCondensiaとACPと2種類ありますが、違いはなにでしょうか?

A. 生成されるPRPの成分が少し異なっています。症例によって治療成績が違うものがあり、使い分けています。特に治療成績に差がない場合は経済的なほうを選択します。

Q. 自由診療とはいえ、高いですね!

A. 私がPRP療法を開始したのは(=当時の上司からやれと言われたのは)2010年ごろでしたが、その当時は再生医療法はありませんでした。あちこちからありあわせの材料をかき集めてやっていましたので、今より手順も多く、PRPを精製するのに時間もかかっていましたが、5000円から1万円前後で行っていました。
再生医療法ができてからは「安全に再生医療を行うため」に委員会の審議をへて認可される制度になりました。使用するキットも市販されるようになりより「安全に」行えるようになりました。
残念ながら委員会に審議をお願いするためには高額な費用がかかるようになってしまいましたし、作成するために必要な機材代も高額になってしまいました。また、施設基準を満たすために必要な設備も必要になってきます(当院はPRP療法を考慮して設計しましたので追加工事は必要ありませんでしたが)。
治療効果もはっきりとしているため保険適応になってもおかしくないと思うのですが、このような「事情」によって自由診療になっています。全く同じ機材を使って美容外科でも自由診療をしているので、線引きが難しいのかもしれませんね(ヒアルロン酸はどうなんだって話になりますが)。
「もっと安くてもっとみんなができるようになるといいな」と常々思っています。

Q. PRPとPRP-FDはなにが違うのでしょうか?

A. PRP-FDの「FD」は「フリーズドライ」です。フリーズドライは私たちが一般的に食べている保存食品で使われている加工方法です。「四角いぱさぱさした卵スープ」「カップヌードルのえびや謎肉」と言えばわかりやすいでしょうか?
治療を受ける人の血液を採取するところまではPRPもPRP-FDも変わりませんが、PRPが院内で血液を精製するのに対し、PRP-FDは専用の施設に郵送し加工を行います。投与するときは粉末状になったPRP-FDにお湯をかけ・・・もとい、精製水に溶解して投与します。

患者さんにとってのPRP-FDのメリットは、半年程度保存可能なことです。1回の採血で複数回分採取しておき、ご自身のタイミングで投与できます。施設側からすれば委員会にかける必要もありませんし、院内に精製に必要な設備も人員も必要としません。が、その分加工費用は高額で患者さんの費用負担も高くなってしまいます。
PRPは「生きた」細胞が含まれているのに対して、PRP-FDは「死んだ」細胞です。PRP療法は血小板から放出される様々な物質によって創傷治癒を促進させるのが目的ですから、死んだ細胞に含まれる物質でも治癒効果があるのではないかと言われています。

追伸:このブログは院長の個人的な知識、経験を元に書いております。内容が間違っている、最近はこう言われているといったご意見がありましたらお知らせください。

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