MRIと閉所恐怖症

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狭いところは苦手ですか?

高所恐怖症、先端恐怖症、暗所恐怖症、饅頭恐怖症(?)など「〇〇恐怖症」と言われるものは色々とあります。他人にとってはなんとも無いことでも自分にとってはパニックを起こすことは色々とあります。
恐怖症自体は一概に悪いことであるとは言いきれません。自分の身に危険が及ぶ状況を事前に察知するためにあると言われています。ただし、有益な時にも恐怖症は関係なく生じるため問題が起こります。
閉所恐怖症はそんな恐怖症の一つです。

ガントリは狭くて長い方が綺麗な画像を得るためには有利です

難しい話になるのではしょりますが、MRI検査のために狭い筒(ガントリといいます)の中に入る必要があるのは、「磁場が均一で広い方が解像度の高い画像を広範囲に得られるため」です。
そうはいっても狭いと何かと不自由なので、最近は開口部が広いMRIも発売されてはいます。が、いいお値段がするのでとてもではないですが、当院のような小さなクリニックでは導入できません。
当院のMRIはアメリカGE社製です(発明王エジソンが作った会社です)。GE社製のMRIの特徴としてガントリが比較的大型です。その分広範囲にとれるので、特に腰椎(こしのほね)の骨折を見落とさずに検査することが可能です。

閉所恐怖症をお持ちのかたへの対応のしかた

当院で行なっている閉所恐怖症をお持ちのかたへの対応方法をお伝えします。

オープンタイプのMRIで検査していただく

オープンタイプMRI
オープンタイプMRI

上の絵のようにオープンタイプMRIといって、ガントリが筒状ではない、横が空いているタイプのMRIがあります。このタイプのMRIをお持ちの施設に紹介状を作成し検査を行なっていただきます。

オープンタイプMRIは最大でも0.5テスラです。1.5テスラMRIと比較するとどうしても画像がぼんやりしてしまうため、細かな情報は得られません。単純レントゲン検査でわからないような骨折を疑う場合などにお願いしています。

試しにMRIに入ってみる

閉所恐怖症と一口に言っても人それぞれで、顔がガントリに入らなければ大丈夫であるとか、以前検査した時、頭に枠のようなものをはめなくてはならなくて(コイルといいます)、それが怖かったとかもあります。逆に足先がガントリにちょっと入っただけで怖くて検査できないかたもいらっしゃいます。
当院のガントリは長さ160cmです。その中心に検査部位がきますので検査部位から80cm以上はガントリの外にでます。80cmギリギリだとしても端の方はこのページのトップ画像のようにラッパのようになっていますので、人によってはそれほど恐怖を感じない場合もあります。
ご自宅にメジャーがありましたら、検査してほしい部位(膝や股関節など)から80cm測ってみてください。ガントリに頭がはいるか、外に出たままかおおよそのことはわかると思います。


コイル(特に頭部につけるもの)は装着したほうが画像が綺麗になりますが、必ずしも装着しなければならないものではありません。多少画質が落ちますが、コイルなしでも診断に必要な情報が得られる程度の画像が得られる場合があります(コイルなしでも0.5テスラMRIよりは十分綺麗な画像がえられます)。

10分だけがまんする

当院は1回のMRI検査をおおよそ30分としています。この時間には着替えたり準備したりする時間も含まれるため、実質狭いところに入っている時間は20分超です。その間に6種類の画像をとっていきます。診断に重要な検査から行なっていくので、最初の10分間でかなりの情報が得られます。ですので10分程度なら大丈夫と思われる場合は10分がんばっていただければと思います。

短期作用型の抗不安薬を服用する

デパスという気持ちを落ち着かせる、不安を和らげるお薬があります(睡眠薬としても使います)。MRI検査前30分程度に内服していただき、撮影すると、比較的不安感がなく検査をうけることができます。
デパスには集中力が低下する副作用があります。薬の効果が切れる前に車の運転を行うと危険ですので、公共交通機関での通院をお願いするか付き添いのかたに運転をお願いをしています。

手を握る

当院ではまだ試していないのですが、他のクリニックで実践され結構効果があるそうです。おひとりだとどうしても不安感が強いのですが、スタッフもしくはご家族が検査中手をずっと握っておくと安心して検査ができるそうです。このブログをみて「試してみたい」と思われる方がいらっしゃればぜひお申し付けください。

他の検査で代用する

例えば転倒して肩が痛くなった場合、肩の腱板損傷などは超音波検査で代用「できなくはない」です。腱板の状態を確かめるだけでしたら超音波検査でも可能ですが、その奥にMRIではわからないような骨折が隠れている場合もありますのでMRI検査のほうが確実ではあります。「MRI以外の検査である程度の治療方針をたてておいて、どうしても症状が改善しない場合はあらためてMRI検査を考えてみる」でも良いかもしれません。どうしてもMRI検査でないと診断が付かない場合はこの方法は難しいです。

MRIは令和の整形外科に必要不可欠な検査機器です

・・・と強く思っています。特に高齢女性の腰痛の場合、骨粗鬆症を合併していると高率で圧迫骨折が隠れています。骨折をちゃんと診断せずにリハビリを行なったら間違いなく腰痛が悪化しますので、MRIでしっかりと診断をつけるのが重要になってきます。閉所恐怖症をお持ちの場合は、上記方法がありますので一度ご相談ください。

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